インハウスマーケティング[コラム]
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2024年7月21日
既存社員を活躍させる!リスキリングを成功させる第一歩は社内マーケティング
デジタル化が加速する現代のビジネス環境において、既存の人材をいかに活用し、新しいスキルを身につけさせるかが企業の競争力を左右します。しかし、多くの企業でリスキリングの取り組みが思うような成果を上げられていないのが現状です。その原因の一つが、社内への効果的なアプローチの欠如にあります。本コラムでは、マーケティングの視点からリスキリングを成功に導くための戦略と、そのプロセスを通じてマーケティング機能の内製化を実現する方法をご紹介します。
目次-------------------------------------------------------------------------------------------------
1. なぜ失敗する?リスキリングの落とし穴と社内マーケティングの重要性
2. 「社員=顧客」発想で差をつける!ペルソナ分析とニーズの把握
3. 心を動かす!リスキリングプログラムの魅力的な「商品設計」と「プロモーション」
4.PDCAサイクルで進化を加速!フィードバックループの構築と継続的改善
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1. なぜ失敗する?リスキリングの落とし穴と社内マーケティングの重要性
■リスキリング失敗の根本原因
多くの企業がリスキリングプログラムを導入しているにもかかわらず、期待通りの成果を上げられていないのが現状です。その主な理由は、社員のモチベーション不足と参加率の低さにあります。これらの問題の根底には、プログラムの価値が社員に十分に伝わっていないという共通の課題があります。社員がリスキリングの必要性や自身のキャリアにとっての重要性を理解していない場合、積極的な参加は望めません。
■社内コミュニケーションの不足
多くの場合、リスキリングプログラムの導入は経営層や人事部門の判断で行われます。しかし、その意図や目的が現場レベルまで十分に浸透していないケースが多々あります。また、プログラムの内容や学習方法が社員のニーズや学習スタイルに合っていないことも、参加意欲を低下させる要因となっています。効果的な社内コミュニケーション戦略の欠如が、リスキリングの失敗に直結しているのです。
■社内マーケティングの重要性
ここで注目すべきなのが「社内マーケティング」の考え方です。社内マーケティングとは、社員をターゲット顧客と捉え、彼らのニーズや課題を深く理解した上で、魅力的な「商品(リスキリングプログラム)」を開発し、効果的に「販売(参加促進)」する活動です。この手法を活用することで、社員の自発的な参加を促し、リスキリングの成功確率を大幅に高めることができます。
■社内マーケティングの具体的アプローチ
社内マーケティングを実践するには、まず社員のセグメント分析を行い、各グループの特性やニーズを把握します。次に、それぞれのセグメントに合わせたプログラム内容やコミュニケーション方法を設計します。例えば、若手社員には最新技術への挑戦を、中堅社員にはキャリアアップの機会を強調するなど、訴求ポイントを変えることが効果的です。また、社内SNSや動画配信など、多様なチャネルを活用して継続的に情報を発信し、プログラムの価値を浸透させることが重要です。
■成功事例の可視化と共有
リスキリングプログラムの効果を高めるには、成功事例を積極的に共有することも重要です。プログラムに参加した社員のキャリアアップや業務改善の事例を可視化し、社内で広く共有することで、他の社員の参加意欲を刺激し、プログラムの価値を実感させることができます。このような取り組みを通じて、リスキリングを組織文化の一部として定着させることが、長期的な成功への鍵となります。
2. 「社員=顧客」発想で差をつける!ペルソナ分析とニーズの把握
■マーケティング思考を社内に応用
効果的な社内マーケティングの核心は、「社員=顧客」という発想にあります。外部顧客向けのマーケティング手法を社内に適用することで、リスキリングプログラムの訴求力を大幅に高めることができます。この考え方に基づき、社員を深く理解し、ニーズを的確に把握することが重要です。
■ペルソナ分析の活用
マーケティングで頻繁に用いられるペルソナ分析を、社員理解に応用します。具体的には、年齢、経験、職位、スキルレベル、キャリア志向などの要素を考慮し、典型的な社員像を作成します。例えば、「デジタルネイティブ世代の若手社員」「中堅のキャリアチェンジ希望者」「管理職でデジタルスキル向上を目指す層」などのセグメントを設定し、それぞれの特徴を詳細に描写します。
■各セグメントの特徴とニーズ
デジタルネイティブ世代の若手社員は、最新技術への高い関心と、キャリアパスへの不安を併せ持っています。中堅のキャリアチェンジ希望者は、新しい分野でのスキルアップに意欲的ですが、変化への不安も抱えています。管理職層は、デジタル化の波に乗り遅れないよう焦りを感じつつ、リーダーシップスキルとの両立に課題を感じています。各セグメントのニーズ、不安、期待を丁寧にヒアリングし、分析することが重要です。
■ニーズ把握の方法
ニーズを正確に把握するには、アンケート、インタビュー、フォーカスグループディスカッションなど、多様な手法を組み合わせることが効果的です。定量的データと定性的情報を組み合わせることで、より立体的な社員理解が可能になります。また、日常的なコミュニケーションや社内SNSでの議論なども、貴重な情報源となります。
■セグメント別アプローチの策定
分析結果に基づき、セグメントごとに最適なアプローチを策定します。例えば、若手社員には最新技術への挑戦機会を強調し、中堅社員にはキャリアアップの具体的なパスを示し、管理職にはデジタルスキルとリーダーシップ強化の相乗効果を訴求するなど、それぞれの関心や不安に応じた訴求ポイントを設定します。
■継続的な見直しと改善
ペルソナ分析とニーズ把握は、一度行えば終わりではありません。社会環境や技術トレンドの変化に伴い、社員のニーズも変化していきます。定期的に分析を更新し、プログラムの内容や訴求方法を柔軟に調整していくことが、長期的な成功につながります。
3. 心を動かす!リスキリングプログラムの魅力的な「商品設計」と「プロモーション」
■ストーリー性のあるプログラム設計
リスキリングプログラムの成功には、単なるスキル習得以上の魅力が必要です。ペルソナ分析で得た洞察を基に、社員のキャリアビジョンや自己実現と結びつけた「ストーリー」を提供することが重要です。例えば、「デジタル変革の主役になる」「新時代のリーダーシップを身につける」といったビジョンを掲げ、そこに至るまでの道筋を明確に示すプログラム設計が効果的です。
■段階的な学習プロセスの構築
社員の現在のスキルレベルや学習ペースに配慮した、段階的な学習プロセスを構築します。初級、中級、上級といったレベル分けを行い、各段階で達成感を得られるよう設計することで、モチベーションを持続させます。また、各段階の修了時に認定証を発行するなど、目に見える形で成長を実感できる仕組みも取り入れましょう。
■実践的なプロジェクト体験の導入
座学だけでなく、実践的なプロジェクト体験を取り入れることで、学んだスキルの即時活用を促進します。実際の業務課題をテーマにしたプロジェクトを設定し、チームで取り組むことで、スキルの定着と同時にチームワークの強化も図れます。また、プロジェクトの成果を社内で発表する機会を設けることで、達成感と認知度の向上にもつながります。
■メンタリングとコーチング制度の確立
個々の社員の成長をサポートするため、メンタリングやコーチング制度を確立します。経験豊富な社内メンターや外部コーチによる定期的なセッションを設け、技術的なアドバイスだけでなく、キャリア相談や学習方法のガイダンスも提供します。この個別支援により、挫折リスクを低減し、継続的な学習を促進します。
■戦略的プロモーションの展開
プログラムの魅力を効果的に伝えるため、多角的なプロモーション戦略を展開します。経営層からの強力なメッセージ発信により、プログラムの重要性と会社のコミットメントを示します。同時に、プログラム参加者の成功事例を社内報やイントラネットで積極的に紹介し、具体的なメリットを可視化します。また、参加者による体験談セッションやオープンハウス形式の説明会を開催し、プログラムの魅力を直接伝える機会を設けます。
■継続的な改善とフィードバックの活用
プログラムの効果を最大化するため、参加者からのフィードバックを積極的に収集し、継続的な改善を行います。アンケートや定期的なインタビューを通じて得た意見を基に、プログラム内容やプロモーション方法を柔軟に調整していきます。この循環的な改善プロセスにより、常に社員のニーズに合ったプログラムを提供し続けることができます。
4. PDCAサイクルで進化を加速!フィードバックループの構築と継続的改善
■PDCAサイクルの重要性
リスキリングプログラムの効果を最大化し、長期的な成功を実現するには、継続的な改善が不可欠です。マーケティングで広く活用されているPDCAサイクルを、リスキリングプログラムの運営に応用することで、プログラムの質と効果を着実に向上させることができます。このサイクルを通じて、社員のニーズや市場の変化に柔軟に対応し、常に最適化されたプログラムを提供することが可能になります。
■Plan:戦略的計画立案
PDCAサイクルの最初のステップは、綿密な計画立案です。ここでは、前回のサイクルで得られた知見を基に、ペルソナ分析を更新し、各セグメントのニーズや期待を再評価します。この分析結果を踏まえ、プログラムの内容、学習方法、サポート体制などを設計します。また、明確な目標設定も重要です。参加率、満足度、スキル習得レベルなど、具体的な指標を定義し、達成すべき数値目標を設定します。
■Do:効果的な実施とプロモーション
計画に基づき、プログラムを実施します。この段階では、設計したカリキュラムの提供だけでなく、効果的なプロモーション活動も重要です。社内SNSや定期的なニュースレター、経営層からのメッセージなど、多様なチャネルを活用して、プログラムの価値や参加者の成功事例を継続的に発信します。また、参加者のモチベーション維持のため、進捗状況の可視化や小さな達成を称える仕組みも導入します。
■Check:多角的な評価と分析
プログラムの効果を正確に把握するため、多角的な評価を行います。定量的指標として、参加率、修了率、スキル診断テストのスコアなどを測定します。定性的評価としては、参加者へのアンケートやインタビュー、上司からのフィードバックなどを収集します。これらのデータを統合的に分析することで、プログラムの強みと改善点を明確化します。また、業界トレンドや最新の学習理論なども参照し、プログラムの時代適合性も評価します。
■Act:迅速かつ柔軟な改善
分析結果を基に、プログラムの改善策を策定し、迅速に実行に移します。例えば、特定のモジュールの難易度調整、新しい学習テクノロジーの導入、メンタリング制度の拡充などが考えられます。改善は小規模なものから段階的に実施し、その効果を随時モニタリングします。また、成功した改善策は、他の部門や地域のプログラムにも展開し、組織全体でのベストプラクティスの共有を図ります。
■フィードバックループの確立
PDCAサイクルを効果的に機能させるには、継続的なフィードバックループの確立が重要です。参加者、講師、人事部門、経営層など、多様なステークホルダーからの意見を定期的に収集する仕組みを構築します。これにより、プログラムの課題をリアルタイムで把握し、迅速な対応が可能になります。また、このプロセス自体も定期的に見直し、より効率的なフィードバック収集方法を模索し続けることが、プログラムの長期的な成功につながります。
5. まとめ
現代のビジネス環境において、既存社員のリスキリングは企業の競争力向上に不可欠です。しかし、多くの企業が導入するリスキリングプログラムが期待通りの成果を上げていないのが現状です。その主な原因は社員のモチベーション不足と参加率の低さにあり、プログラムの価値が社員に十分に伝わっていないためです。
この課題を解決するためには、社員を顧客と見立て、ニーズを深く理解し、魅力的なプログラムを提供する社内マーケティングの手法が有効です。まず、社員をセグメントに分け、それぞれの特性やニーズに合わせたプログラム内容やコミュニケーション方法を設計します。例えば、若手社員には最新技術への挑戦を、中堅社員にはキャリアアップの機会を強調するなどのアプローチが効果的です。
また、成功事例の共有やメンタリング制度の導入など、参加者のモチベーションを維持し、成長を実感させる仕組みも重要です。PDCAサイクルを活用し、継続的な改善を行うことで、プログラムの質と効果を向上させます。
最終的には、社員の自発的な参加を促し、リスキリングを組織文化の一部として定着させることが、企業の長期的な成功につながるでしょう。このような取り組みを通じて、企業はデジタル化が進む中でも持続的な成長を実現できるのです。
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