マーケティングにおけるAIの活用事例や、今後の影響

マーケティングにおけるAIの活用事例と、今後の影響

著者:株式会社GuideRunner代表取締役 |野田卓司
【要約】
【マーケティングにおけるAIの活用事例と、今後の影響】
帝国データバンクの調査(2026年3月)によると、生成AIの主な使い道は「文章の作成・要約・校正」(45.1%)に集中していて、「企画立案時のアイデア出し」は11.0%にとどまります[1]。活用している企業の86.7%が「効果が出ている」と答える一方で、約半数(50.4%)が情報の正確性に懸念を持っています[1]。 私たちGuideRunnerは、コラム、プレスリリース、ラジオ(ポッドキャスト)、YouTube、SNSといった発信を、AIを使い分けながらほぼ1人で回しています。この記事では、その実例をもとに、AIが担う部分と人が決める部分の線引き、そして今後、中小企業の経営者・担当者に起きる変化を整理します。 結論から言えば、AIでコンテンツを「作る」ことは、誰でもできるようになります。AIを使うかどうかではなく、自社にしかない経験・ノウハウ・ 知見・調査データ、つまり「一次情報」を出せるかどうかが問われます。そして、それをどう届けるかを「設計」できるかどうかで差がつきます。もっと詳しく知りたい方は、以下、本文をご覧ください。
「AIを使えば、マーケティングは本当に楽になるのか。」
「他社は、AIを使って実際に何をしているのか知りたい。」
「AIのせいで、これからマーケティングの仕事はどう変わるのか。」
こうした質問を、お客様との打ち合わせで本当によくいただきます。
私たちガイドランナーは、中小企業のマーケティング内製化(インハウス化)の支援を行っています。ここからは、他社の話ではなく、私たち自身が毎日使っている現場の実例をもとに、AIの活用と今後の影響を現場目線で解説します。
営業目的の記事ではありません。AIをどこに使い、どこは人が持つのか。自社で考える材料として読み進めてください。
となりの会社は、マーケティングでAIをどう使っているの?
これ、気になりますよね?
私はこれまで1000社以上のマーケティング現場を見てきましたが、「AIを入れたものの、文章作成にしか使えていない」という声は、業種や規模を問わず多くの経営者・担当者に共通しています。安心してください。一緒に見ていきましょう。
以下のうち当てはまるものはありますか?
AIは契約したが、メールや文章の下書きくらいにしか使っていない
SNSやコラムの更新が、担当者1人に集中している
AIが書いた文章を、そのまま出してよいのか判断できない
社内で、AIを使える人と使えない人の差が開いている
「AIでマーケティングはどう変わるのか」を、経営者として整理できていない
1つでも当てはまった方は、この記事を最後まで読む価値があります。
目次:---------------------------------------------------------------
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1. マーケティングのAI活用、いま何が起きているか
まず、世の中の状況を整理します。
AIを使う企業の「規模別の活用率」や「費用感」は、別の記事「AIにいくら使ってる?中小企業のリアルな費用感を解説」で詳しく書きました。この記事では、その先の「何に使っているのか」に絞ります。
帝国データバンクの調査(2026年3月、全国2万3,349社対象・有効回答1万312社)で、活用している企業の主な活用業務を見ると、「文章の作成・要約・校正」が45.1%と最も多く、「情報収集」が21.8%、「企画立案時のアイデア出し」は11.0%にとどまります[1]。
効果については、活用している企業の86.7%が「効果が出ている」と回答しています。一方で、情報の正確性に懸念を持つ企業は50.4%にのぼり、AIによる悪影響として最も多く挙がったのは「社員間の使いこなし格差の拡大」(18.8%)でした[1]。
つまり現状は、多くの企業が、AIを文章を整える道具として使い始めた段階です。マーケティングの「企画」や「設計」にまで使えている企業は、まだ少数だと考えられます。
もう一つ、検索の側にも変化が起きています。検索結果にAIによる要約が表示されることで、ユーザーがサイトをクリックせず、AIの回答だけで情報を得るケースが増えています。この変化については、私たち自身の数字を、別の記事「AI表示3倍!対策ゼロからAIO対策・LLMO対策をやってみての結果報告」で公開しています。
2. 事例:コラム・プレス・ラジオ・YouTube・SNSを、ほぼ1人で回す
ここからは、私たち自身の実例です。GuideRunnerでは、次の発信を、ほぼ1人で回しています。
発信 | 頻度 | AIが担う部分 | 人が決める部分 |
コラム | 週2〜3記事 | 構成案、下書き、事実確認の補助 | テーマ、実体験の追加、数字の出典確認、公開の判断 |
教えてマーケ(FAQ) | 週3〜4記事 | 回答の下書き、表現の整え | 取り上げる質問、回答の方向性 |
プレスリリース | 月2回 | 設問案、結果の読み解き、原稿の下書き | 時流テーマの選定、設問の最終決定、数字の確認 |
ラジオ(ポッドキャスト) | 月2本以上 | 音声コンテンツの制作 | 何を話題にするか、公開の判断 |
YouTube | 月2本以上 | 【要確認:台本・資料づくりなど、AIを使っている工程】 | 企画、内容の最終確認 |
SNS | Instagram週3回、X毎日3投稿、note月3記事 | 投稿案、アイデア出し、画像制作 | 発信の方針、投稿内容の最終確認 |
使っているAIは、役割で分けています。戦略立案・分析・企画はClaude、画像制作・アイデア出しはChatGPT、リサーチ・ 情報整理はGemini、記事制作・ライティングはCopilot、スライド・提案資料はGenspark、音声コンテンツはNotebookLMです。月額費用の内訳は、別の記事「AIにいくら使ってる?中小企業のリアルな費用感を解説」で公開しています。
それぞれの発信で、何をしているかを見ていきます。
2-1. コラム:決めた「型」に沿って書く
コラムは、要約、導入、目次、本文、まとめ、FAQ、参考情報という標準の構成(型)を決めています。AIには、この型に沿って構成案や下書きを作らせます。
ただし、AIに任せきりにはしません。人が決めているのは、次の4点です。
どのテーマを書くか(お客様の相談や、検索で実際に調べられている言葉をもとに決める)
自社の実体験や、現場で見た事例など、自社にしかない一次情報を加えること
記事内の数字が、公開されている出典と一致しているかの確認
公開してよいかの最終判断
文章は、AIがいくらでも書けます。だからこそ、「何を書くか」「自社にしか書けない情報が入っているか」「書いてあることが正しいか」は、人が持つ必要があります。なお、私たちの記事の末尾には、文章の一部に生成AIを活用していることを明記しています。
2-2. プレスリリース:独自の調査データを、一次情報の起点にする
プレスリリースは、月2回、独自のWebアンケートを起点に作っています。世の中で話題になっていること(たとえば最低賃金の改定)と、自社の専門領域(中小企業のマーケティング)を掛け合わせてテーマを決めます。
アンケートの結果は、私たちだけが持っている一次情報です。この一次情報を、リリースだけでなく、コラムやnoteにも角度を変えて届けています。
AIには、設問案の作成、集計結果の読み解き、リリース原稿の下書きを手伝わせています。一次情報を整理して、読みやすい形にする作業は、AIが力を発揮するところです。
一方で、人が必ず持っているのは、テーマの選定と、数字の確認です。調査結果は、記事の信頼そのものです。AIが整えた文章でも、数字が1つ違えば、すべての信頼が 崩れます。
2-3. ラジオ(ポッドキャスト):音声はAIで作る
音声コンテンツ(ポッドキャスト)は、NotebookLMを使って制作しています。文章中心の発信を、耳で聞く形に変える使い方です。以前なら、収録や編集に専門の人手と時間が必要だった領域でした。
2-4. YouTube:月2本の動画を続ける
YouTubeは、月2本以上、10分程度の動画を続けています。
2-5. SNS:毎日の投稿を、仕組みで回す
SNSは、Instagram週3回、X毎日3投稿、note月3記事です。毎日の 投稿は、「今日、何を出すか」を考えるところで止まりがちです。投稿案やアイデア出し、画像づくりをAIに手伝わせることで、続けやすくしています。
ここまで、すべての発信に共通しているのは、AIが「作る」ところを担い、人が「決める」ところと「確認する」ところを持っている、という分担です。
3. 事例から見えた「AIに任せる・人が決める・人が確認する」の線引き
5つの発信を回してみて、私が線引きとして意識しているのは、次の3つです。
区分 | 内容 | 具体例 |
AIに任せる | 型が決まっている作業、下書き、形式の変換 | 構成案、下書き、表現の整え、画像、音声化 |
人が決める・出す | 方針、テーマ、切り口、一次情報(経験・ノウハウ・知見・調査データ) | 何を書くか、誰に向けるか、実体験の追加、公開の判断 |
人が確認する | 正確性、表現のリスク、数字の出典 | 調査結果の数字、固有名詞、断定表現 |
この線引きを、発信ごとに「型」として決 めておくと、毎回迷わずに、同じ品質で回せます。なお、具体的な型の作り方や、プロンプトの設計は、研修でお伝えしています。
ひとつだけ、正直に書いておきます。私自身が、マーケティングの現場に長くいるため、「何を決めるべきか」を設計できる面は否定できません。ただ、線引きを言葉にして型にしておけば、経験が浅い担当者でも、持ち帰ることができるはずだと考えています。
4. 「AIで書くと評価が下がるのでは?」への、私たちの見解
お客様から、こんな質問もよくいただきます。「AIが書いた文章には、目に見えない透かしが入っていて、AIが書いたと分かる時代になった。AIで書くと、検索やAIからの評価が下がるのではないか」という心配です。
私たちが確認できた範囲で、事実として分かっていることを整理します。
Googleの検索のガイダンスは、生成AIの利用そのものを禁止していません。問題にしているのは、ユーザーに価値を加えない大量のコンテンツを、AIなどで作って公開することです。また、公開前の事実確認と、作成方法を読者に伝えることを推奨しています[2]
同じガイダンスには、透かしを評価に使うという記述は、私たちが確認した範囲では見当たりませんでした[2]
文章に透かしを入れる技術(Google DeepMindの「SynthID Text」)は存在します。ただし、事実に基づく文章では効果が下がることや、大幅に書き換えたり翻訳したりすると検出の信頼度が下がる場合があることが、公式の説明に書かれています[3]
つまり、「AIを使った」ことだけを理由に、評価が決まるとは言い切れません。ただし、評価の仕組みは外から見えず、今後変わる可能性もあります。この点は、断定せずに受け止めています。
そのうえで、私たちの見解は次のとおりです。
AIを使うことは、もう止められない。そのことは、検索エンジンやAIの側も、すでに認識しているはず。だとすれば、これから問われるのは「AIを使ったかどうか」ではなく、「その情報が、オリジナルかどうか」ではないか。
AIに任せきりで書くと、誰が書いても同じような内容になります。AIが書いたかどうかが分かるかどうか以前に、どこにでもある内容は、価値が下がっていきます。逆に、AIを使って書いたとしても、その会社にしかない情報が入っていれば、価値は残ります。
では、オリジナルの情報とは何か。私たちは、次の4つを「一次情報」と呼んでいます。
一次情報 | 内容 | GuideRunnerの例 |
経験 | 実際にやったこと、失敗したこと、現場で見たこと | 4つの生成AIに自社を質問してみた実験、AI対策をゼロから実施した記録 |
ノウハウ | 自社が実際に使っている手順、型、判断基準 | 発信ごとの「型」と、AIに任せる・人が決める・人が確認する、の線引き |
知見 | 長年の現 場から導いた見立て、考え方 | 1,000社以上のマーケティング現場を見て得た見立て |
調査データ | 自社で集めた数字、独自のアンケート |








